ビジネスで大切なもの
ビジネスにおいて必要不可欠なものは何だと思いますか?豊富な資金・独創的な商品/サービス・優秀な社員・安定的な株主・快適な事業所・・・。これらの要素ももちろん重要ですが、さらに重要なのが商品やサービスを購入してくださる“お客様(顧客:Customer)”の存在です。いくら資金があって、ユニークなサービスを提供し、優秀な社員を揃えても、お客様がいなければビジネスは成り立ちません。それが個人事業のような小規模なビジネスでも、世界的な大企業であっても同じことです。
しかし、ビジネスにおいて重要な存在である“お客様”は、必ずしも一つの企業に留まっているわけではありません。例えば、A社の商品を長年使っていたお客様が、何かのきっかけでB社の商品に乗り換えてしまうことがあります。つまりA社は大切な“お客様”を失ってしまったのです。
CRMの必要性
モノを作れば売れる時代、一度離れた顧客も新しい商品を安価で提供することで、すぐに自社の顧客として戻ってきてくれました。しかし、モノや情報が溢れ、企業間競争が激化する現在、低価格の戦略やマスマーケティング的な万人受けする新商品を提供しても、一度離れた顧客は簡単には戻ってきてくれません。
さらに、ITの発達――例えば、インターネットを通じて消費者が簡単に商品を検索・購入できるようになったこと――で、顧客が他社へ乗り換える可能性が格段に高まりました。ではこうした消費者主導のマーケットにおいて、どのように顧客の流失を防ぎ、自社に留まってもらえばよいでしょうか?その答えが“CRM(Customer Relationship Management)”にあります。
まず消費者主導のマーケットに対応するために、会社全体が顧客中心に動くようにならなければなりません。つまり顧客志向であり、CRMの根源に位置する考え方です。さらに顧客の流出を防ぎ、自社に留まってもらうには、顧客とコミュニケーションを図り、お互いに強い信頼関係を結ぶ必要があります。これは、企業全体として取り組むべき経営戦略なります。つまりCRMとは『顧客志向に基づき、顧客と常に良好な関係を維持・強化する経営戦略』なのです。
CRMの本質
ここまで読むと、「CRMの目的=顧客の流出を防ぐ」と思われるかもしれませんが、『CRMの真の目的』はこれだけではありません。よく考えてみてください。顧客がずっと自社の“お客様”である限り、会社の売上に貢献し続けます。さらに“普通の顧客”が、購入頻度や購入単価が高い“優良な顧客”になることで、会社への貢献度はさらに増幅されます。“優良な顧客”を増やすには、自社の“ファン”を作ることです。つまり、CRMの目的は単に顧客の流出を防ぐことだけでなく、自社の“ファン”を作ることで“優良な顧客”を増やし、会社へ貢献してもらうこと(=CRMの真の目的)なのです。
日常にあるCRM
すこし抽象的な話が続いたので、もう少し具体的なお話をします。CRMの考え方の一つに『全ての顧客を平等に扱わない』というのがあります。不思議に思われるかもしれませんが、これは先ほどの“優良な顧客を増やす”ことに関係してきます。
例えば、飲食店や美容院などで利用されている“スタンプカード”を思い出してください。利用頻度や購入金額に応じてさまざまな特典がもらえるものですが、利用頻度が高くて購入単価が高い顧客は高価な特典をもらえ、逆に利用頻度が低くて購入単価が低い顧客は何ももらえません。同じ“お客様”なのに、個々によってまったく違った待遇になるのです。これは、高価な特典が欲しい“普通の顧客”が、高い商品を頻繁に購入することで“優良な顧客”になろうとする消費者心理をついたマーケティング戦略に起因します。言い換えれば、スタンプカードというマーケティング活動も、全ての顧客を平等に扱わないというCRMの考え方に基づいているのです。
CRMの未来
こういった何気ない日常の中に取り入れられているCRMですが、ITの発展という追い風に乗って、さまざまなCRM活動が行なわれています。例えば、携帯電話を利用したマーケティング活動などがその一つです。今後も、インターネット業界のトレンドである“Web2.0”や“ネット広告”といった分野が、企業のCRM活動に大きな影響を及ぼすでしょう。
個人事業から大企業まで、全ての企業の中心にある“お客様”を基にしたCRMという考え方。次回は、そのCRMに関わるビジネス&マーケット――CRM業界――に焦点を当てて、お話したいと思います。
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