Vol.01 企画編

「心地よいコミュニケーション」の実現へ。CRM革命への挑戦 企画編

「CRMと広告の連携」によって、Webサイトの閲覧履歴データを活用したタイムリーなフォローメールを届ける。

2015年4月13日、当社のコミュニケーションプラットフォーム「Synergy!」と、Yahoo! JAPANが提供する「Yahoo! DMP」が連携しました。この「CRMと広告の連携」から新たな価値を創造することが、本プロジェクトの大きなミッションである。今回、ミッション達成に向けた第一歩として、Synergy!に格納されているCRMデータとYahoo! JAPANが持つマルチビッグデータの掛け合わせによって実現した「リターゲティングメール機能」がリリースされました。

リターゲティングメール機能とは、Webサイトの閲覧履歴データなどを活用し、タイムリーにフォローメールを配信することができる機能のこと。Vol1では、この機能が生まれた背景や今後の展望を、Vol2では、この機能を開発する際に立ちはだかった大きな困難や、開発秘話をクロストークでご紹介いたします。

Project Member
  • DESIGNER
    プロダクト本部 プロダクト企画室
    篁 玄太
  • PLANNER
    プロダクト本部 プロダクト企画室
    東中 順子
  • PLANNER
    プロダクト本部 プロダクト企画室
    水岩 雄一

双方にとって「心地よいコミュニケーション」の追求が、リターゲティングメール機能を生み出した

水岩今回、リターゲティングメール機能を企画したきっかけは、「CRMと広告の連携」といったミッション起点というよりは、「企業から発信するマーケティングメッセージを届けることが難しくなってきている」といった課題から考え始めました。ちまたには広告があふれ、顧客のライフスタイルは多様化し、コミュニケーションツールもメールだけにとどまらず、LINE、Facebook、スマホアプリなど複雑化している昨今。企業からのマーケティングメッセージを届けるためには「コンテンツ内容」「配信チャネル」「配信タイミング」の3つを消費者が望んでいるものに近づける必要があると思いました。

そこで、まず注目したのが「配信タイミング」でした。人は何かを「欲しい!」と思った時、まず検索して欲しい物に関連するWebサイトを見ることが多いですよね。人によってバラバラな、このタイミングにアプローチする方法は何かと考えた時に、Webサイトにアクセスしたタイミングでフォローメールを送るという、「リターゲティングメール」のアイデアが浮かびました。

配信チャネルとしてまずはメールに対応しましたが、今後はマーケティング施策やメッセージを受け取るユーザーなどに応じて、広告やLINEなどのSNS、アプリのプッシュ通知など、クロスチャネルでメッセージを配信できるよう機能拡張していく予定です。企業のマーケティングメッセージを、求めている人に、求めているタイミングで、求めている配信チャネルで届ける。そんな、双方にとって「心地よいコミュニケーション」の実現を目指しています。

企業の"やりたい"を実現する、リターゲティングメール機能

水岩この企画を進めて行く中で、既存のお客様へのヒアリングをかなり重視して実施しました。これは今までにないやり方で、「こんな機能が出たら使ってもらえますか?」と、業種業界が異なる数十社のお客様のところに私たちが実際に訪問し、直接お伺いしました。そして、その時のフィードバックを元に、具体的な機能に反映していくといった方法を取りました。

例えば、当社のお客様である旅行会社様に「リターゲティングメール」の機能を使用する時に、特定のWebサイトに訪問したお客様にメールを送信するのではなく、その条件に加えて直近三ヶ月の間に合計○○円以上の旅行のお申し込みをされたお客様にだけメールを送信したいといったお話をいただき、その機能を実際に追加しました。それが功を奏したのか、実はこの機能をリリースする前に受注した案件もあるんです。お風呂に入る時も、ご飯を食べる時も、携わる機能のことを私たちは考え続けており、どうしても入り混みすぎて見えない点が出てきてしまうものです。

そんな時に、お客様からの「こうなったらもっと良い」「うちの会社であればこう使う」といった話や、2案のどちらにするか決めかねていた案に対していただく率直な意見は、私の狭まった視界を広げてくれ、本当に参考になりました。普段から営業やサポートなど、お客様としっかり関係を作ってくれているからこそ、こういった率直なご意見をいただけたのだと思いますので、社内のみなさんには本当に感謝しています。

操作画面はシンプルで
直感的に操作しやすいものを

東中リターゲティングメール機能は、肝となる顧客行動の条件指定をはじめ、これまで私たちが提供してきた他の機能に比べて詳細な設定が可能になりました。ただ、それと同時に使い方も複雑になりました。そのため、管理画面で操作に行き詰まることがないように、紙芝居のようにして画面を作るペーパープロトタイプを使って、画面遷移や設定が分かりやすいかなど、ユーザーテストを何度も実施し改善を繰り返しました。

画面構成の基礎が確定した後、実際の画面デザインの作りこみは僕が担当したのですが、作成途中の画面を使って、ユーザーテストをここでも幾度となく実施しています。操作を見ながら、つまづいている箇所を確認し、「今、操作に悩まれました?どこが気になりましたか?」という質問を投げかけ課題を抽出していき、ユーザビリティの改善に活かしました。何度もユーザーテストを実施していることもあって、操作画面はシンプルで直感的に操作しやすいものになっていると思います。

水岩Synergy!の使いやすさはもともとお客様から評価いただいていたのですが、よりユーザビリティが向上し、国産ならではの使いやすさが提供できていると思います。

表面的なところでは、主流となっているデザインを取り入れることでの先進性。そして、内面的なところでは様々な環境での使用に優れているという理由から、管理画面は今回フラットデザインへと大きく切り替えています。

画像を多用しないので、モバイルなどの貧弱な回線環境でもスムーズに使えますし、画面サイズが異なる環境であっても、それぞれに最適なレイアウトを表現できるレスポンシブデザインとの相性も良いんです。必ずしもモバイル環境で全機能を使える必要があるのかという問題もありますし、アプリとして提供する可能性も考えられます。これらを考慮し、今後の展開に対応できるように作成しています。

先に行き過ぎるのではなく、
お客様の「1歩先」をいく機能を

水岩今後の展開として、お客様の売上に貢献するという製品コンセプトに沿ったかたちで機能拡張をしていきます。どうしても機能拡張をすると、複雑で大きなシステムになってしまいがちですが、私たちはよりシンプルで簡単に使えて、しっかりと効果もあげることができる製品にしていきたいと考えています。

東中当面は基本機能のバージョンアップが決まっていますが、その中でも最新技術を取り入れ、お客様の1歩先をいく機能を実装していきます。

水岩この「1歩先」が重要で、先に行き過ぎてお客様にオーバースペックだと思われないためのバランスが大事ですね。大方針でいうと、「広告とCRMの連携」にもつながるのですが、今後は集客の機能を更に強化していく必要があると思っています。特に中堅企業以下のマーケティングにおいては、集客に課題を抱えているケースが多いことがわかっています。

CRMでは、自社のお客様との関係性に重点が置かれていますが、今後は自社のお客様になる前の見込顧客についてもSynergy!で管理し、行動履歴を蓄積/分析した上で適切なアプローチができるよう機能強化していきたいと考えています。

ユーザーにとって広告は鬱陶しいと思われがちですが、それはあくまで今の技術の限界であって、本当にほしい情報であれば自然と目にとまるはずです。これが理想的な姿ではないかと考えています。その理想に近づいていくためには、まだまだ技術的進歩の余地があるところですね。