【人事担当者リアルトーク】
面接では何を見ている?
人事のホンネを聞いてみた
シナジーマーケティングの人事担当者は、学生(就活生)をどのように見て、どう評価しているのか。そして、人事として何を目指しているのか——公にされることの少ない人事の「ホンネ」を引き出すべく、人材開発グループのみなさんにお集まりいただきました。
<参加者のプロフィール>
内田さん(経営推進部 部長)
中途でシナジーマーケティングに入社。主にアカウントセールスとしてキャリアを積み、2021年4月からは人材開発グループが属する経営推進部の部長に就任。
伊藤さん(人材開発グループ マネージャー)
前職で新規事業開発や人事に携わった後、シナジーマーケティングに入社。採用から教育、人事制度設計など幅広い業務に携わる。
楢原さん(人材開発グループ)
参加者の中で唯一の、新卒入社。2020年4月より人事に異動、主に新卒の採用や育成を担当。
山本さん(人材開発グループ)
この座談会の発案者。中途入社で、新卒採用活動における戦略設計〜実行までを一貫して担う。
素の自分を引き出す採用面接
山本さん(以下、山本):
自分自身が入社するときの面接で、どんなことを聞かれたかって覚えてますか?
楢原さん(以下、楢原):
質問内容までは覚えていないのですが、一次面接のグループ面接が印象的でした。トランプみたいなカードが用意されていて、めくるとテーマが書いてあるんです。しかもそのテーマというのが、志望理由など面接で聞かれる一般的な質問ではなく「最近あったおもしろいこと」みたいな、雑談で話すようなゆるめのテーマばっかりで。
当時は「むちゃぶりだよ〜」と焦りましたが、今、振り返ってみると、学生の素の部分、本来の姿を引き出すための取り組みだったんだな、とわかります。
山本:
自分が人事になってみると、カラクリがわかりますよね(笑)。そういえば、事前に用意ができないタイプの質問は、私のときにもありました。たしか数字を使ったクイズみたいなもので。
回答したあとに、面接担当者から「正解を出せるかどうかではなく、物事に対する向き合い方を見ている」と聞き、妙に納得したのを今でも覚えてます。
内田さん(以下、内田):
用意しづらい質問は、中途採用の面接でもしてますね。最近ほめられたこととか、周りからどう見られているかとか。伊藤さんはどうですか? 必ずする質問みたいなものはありますか?
伊藤さん(以下、伊藤):
よく聞かれるのですが、面接って聞くことは2つだけだと思っていて。ひとつは、何がやりたいか、どんな環境を求めているか、という仕事軸。もうひとつが、(候補者)本人の特徴や強み、弱みなどの本人軸ですね。
就活では、候補者と会社とのマッチングが大切だと考えています。そのため、仕事軸では「本人が求めるものが当社の環境にあるのか」、本人軸では「本人の特徴が当社の仕事に活かせるか」を深掘りして、候補者と会社がマッチするかどうかをお互いに判断できるようにしています。
面接では、この2つを知りたいということを本人に明確にした上で、いろいろな角度から聞いていきます。
内田:
新卒、つまり学生は、中途と違って社会人経験がほとんどないので、判断には慎重になりますよね。
伊藤:
そうですね。面接でたくさんの人を見れば見るほど、人のことはすぐに判断できないなと感じるようになって。だからこそ、「自分には人を見る目がある」と過信することなく、慎重に見ています。
内田:
そこでいうと、みなさんは第一印象ってどう捉えてますか?
山本:
私の場合、たった1時間の面接の中でも第一印象から変わることがよくあって。なので、意識的に第一印象で判断しないようにしてます。
楢原:
私も同じですね。第一印象良いのは長所のひとつ、第一印象が悪いのは改善点のひとつだと捉えてます。
伊藤:
第一印象は、あくまでも特徴や個性のひとつということですよね。
内田:
一方で、こういった個性が、うちの社風や仕事に合うかどうかについては、しっかりと見ている気がします。
伊藤:
その意味でいうと、うちは型にはまらないタイプの学生が集まりやすいですよね。黒のリクルートスーツを着るのが悪いわけではないですが、そこに疑問を持って、自分なりの考えを持っていたりとか。
内田:
一般的には良くないことでも、その会社にとっては良いかもしれないですし。良し悪しを判断するのではなく、あくまでも「自社にとってどうなのか」を見極めるのが大事ですね。
「誰かのために」を広げていく
山本:
「会社に合う人」という話が出ましたが、当社では今、どんなタイプの人が多いと感じてますか?
私は2つ、特徴があると思っていて。ひとつめは、熱い想いを内に秘めている人。見た目は冷静だけど、お客さまの役に立ちたいという想いは誰にも負けない、みたいな。
もうひとつは、みんなとシェアするマインドを持っていること。たとえば、自分が関わったプロジェクトの振り返りを勉強会で共有したりなど、(中途で入社した当時は)純粋にびっくりしました。
楢原:
ざっくりとした言い方になってしまいますが、「いい人」が多いですよね。困っている人がいたら放っておいたりしないですし、自分のこと以上に親身になって話を聞いたり、アドバイスしたり。利他的な思考をする人が多いのかなと思ってます。
その上で、自分なりに改善をしてみたり、提案するなど、行動している…いや、「行動しないと気がすまない!」という人が活躍していますね。
内田:
たしかに。ただ、今の時点だと、目の前のお客さまとか仲間とか、「内」に向いている部分が多いんですよね。
これをもっと「外」に広げられるといいんじゃないかな、と。同じ目的を持った人や企業がつながれば、個人や自社だけではむずかしい課題も解決できると思うんです。
たとえば、2021年7月にリリースした「en-chant(エンチャント)」(※)は、スポーツチーム、スポンサー、ファン、そして、シナジーマーケティングがつながったからこそ、前例のない新しいサービスが実現したのであって、自社だけではできなかったことです。
それこそ(ビジョンにある)人と企業が惹かれ合う世の中にしていくためには、en-chantの事例のように、より広い視野を持って動くということを、社員一人ひとりだけでなく、いろいろな人や企業を巻き込んでやらなくてはいけないと感じてます。
※en-chant
スポンサー企業の商品を購入したりサービスを使うなど応援アクションをすることで、スポーツチームを支援できるファン参加型スポンサーシップサービス。
徹底的に「個」に向き合い、成長をサポートする
山本:
人材開発グループは採用だけでなく、人材育成も大切なミッションですが、新卒のオンボーディングで工夫したり、気をつけていることはありますか?
楢原:
さきほどちらっとお話ししたように、やはり行動につなげることが大事なので、そのために主体性を身につけてもらいたいなと思っています。
たとえば、プロジェクトマネジメントを学ぶためにみんなで社内報をつくる研修をしているのですが、去年まではプロジェクトの進め方を丁寧に説明してから取り組んでもらっていました。ですが、これだと社内報を完成させることがゴールになってしまう気がして。
そこで今年はやり方を変えてみました。まずは「そもそもプロジェクトとは何か」という前提から考えてもらいます。次にプロジェクトの目的を設定し、そこからKGI・KPIに落とし込み、実行・振り返りまで、すべてを自分たちで主体的に考え、進めていきます。自分たちで一から考えたことなので、上手くいった、いかなかったに対する振り返りがしやすく、質も上がるのではと思っています。
内田:
ロジカルシンキングを学ぶなどインプットは大事です。しかし、知識を持っているだけでは意味がありませんからね。楢原さんが言ったように、自分で考えてやってみる—いわば、アウトプットが欠かせないんじゃないかと。
実際にやってみて、壁にぶつかって、一つひとつ乗り越えていくという過程を繰り返すことで、本当の意味で成長できると思うんです。ここの部分をサポートするのが、人事の役割ですね。
伊藤:
そこでいうと、人事だけじゃなく全社員というイメージのほうが近いかもしれません。OJT担当だけでなく、マネージャー、メンター、他部門の上長が定期的に面談をして、やりたいことや困っていることを聞いてサポートする仕組みがありますし。新卒社員でも役員と話せる機会があるのも、うちならではですよね。
内田:
副社長とは年1回定期的な面談があって、社長や会長とも希望すれば1on1できますしね。話していて感じたのですが、人を育てていくには画一的な研修だけではダメで、人と向き合い続けることが必要なんですよね。その観点では、今の規模感での新卒採用数は10名前後が適切な気がします。
山本:
たしかにそうですね。成長してもらうことが事業拡大に直結するので、その成長のためのフォローはなんでもするよ、と。
楢原:
本人にも「成長した」と感じてもらいたいですし。私は、「ぜったいに現場で活躍できるように!」という意気込みで、一人ひとりと向き合ってます。
山本:
まさに内に秘めた熱い想いですね(笑)。一人ひとりに対するサポートだけでなく、内田さんがおっしゃったように、やはりインプットできる場をつくるのも大事なのでは、と考えていて。マーケティング人材を育成するための外部講座やオンライン学習システムの導入を試験的に始めているのですが、ここをもう少し強化して、体系的に学べるようにしていきたいですね。
関わる人すべてに価値を提供しつづけたい
内田:
今、山本さんが少し話してくれたけど、これからチャレンジしてみたいことはありますか?
山本:
新卒の採用活動の戦略立案から実行まですべて任されているのですが、「(前と)同じようにやって」と言われることがまったくなくて。これまでの成功体験にこだわらず、チャレンジの機会を与えてもらっているなと感じています。せっかく一から自分で考えられる環境なので、新しいことをどんどん取り入れてみたいと思ってます。
あともうひとつ、これは私自身の経験なのですが、(前職の)新卒3年目ぐらいのときに「この仕事、ずっと続けていていいのかな?」みたいに、自分の中でグルグル考える時期があって。そんなときに、誰かに話せたら楽になるんじゃないかなって思っていたんです。その経験から「ちょっと聞いてくださいよ」って気軽に話しかけてもらえる存在を目指しています。そのためにも、社内発信などにも力を入れていきたいですね。
楢原さん:
もっと働きやすくて、自分の力を発揮できて、スキルも伸ばせる。そんな環境をつくりたいです。実は私、新卒で入社してからずっと、現場でプロジェクトを担当していて、だからこそわかる課題もあるんじゃないかと思っていて。人事のプロとして現場の声に応えられるようになりたいな、と。
伊藤:
働き方や会社の在り方が変わる中で、どうしたらパフォーマンスを発揮しつづけられるのかということを、最近よく考えています。
あとは採用という軸でいうと、選考だけの関係性で終わらせたくないという想いがあって。だって、せっかくの出会いじゃないですか。入社してもしなくても、なんらかの形で関わり続けられたらいいなと思って。
たとえば今だと、選考を受けてくれた学生全員にフィードバックをしてるじゃないですか。就活で時間を使ってくれた学生に(うちを受けたことに)少しでも価値があったと感じてもらいたいと思って始めたのですが、社会人になってからも連絡がきたり、中途の選考を受けにきてくれたりすると、やっぱり嬉しいんですよね。こんなふうにいろいろな関わりができていく中で、採用の在り方も変えていけたらいいなと思っています。
山本:
内田さんが話していた「つながりを広げていく」という観点でも、ここはやっていきたいですね。それでは最後、内田さんからお願いします!
内田:
人事担当になり感じたのは、人事は色んなヒトの協力や繋がりによって成り立っているのだなと。たとえば、中途採用であればリファラル採用、採用広報であれば社員インタビューやSNSでの拡散、人事制度であれば社員の声や外部パートナーさんからの意見など。
その協力や繋がりをつくるためには、今いる社員はもちろん、学生だったり、社会人の求職者、退職した人など、接点のある方すべてに価値を提供し続けることが必要だと思ってます。その結果、良い制度ができたり、採用のスピードもあがったり、成長できる環境などが改善/強化され、各部門や社員のエンゲージメントが高まる。そしてまた新たな繋がりが生まれる。
この人事スパイラルみたいなものを回し続けて、みんなに「人事いいね!」といってもらえるようになったら最高に嬉しいですね。
(取材/編集:経営推進部 ブランドマネジメントチーム)